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僕とオタと姫様の物語
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70 名前:('A`) 投稿日:04/08/16(月) 07:33
クリスマスイブにデートの娘を買ったことがある。
Hなしっていう条件。拘束時間は明け方まで。高いなぁと感じつつ、綺麗だからまあ仕方ない。
食事して映画みて、すこし飲んで、場所を変えてまた飲んで。
話が弾んで楽しくて あっという間に明け方になった。こういうのも悪くないと思った。
時間になったから開こうと言って、電車動いてる時間だし駅まで送ったら「帰りたくない」と言われた。
金ないし。延長はしないよって きっぱり告げると じゃあ わたしが出すからホテル誘って…と。
繁華街に そのまま歩いて戻り、結局ホテルで その娘に子供みたいにしがみついて、長いこと ぐっすり眠った。
髪から煙草とミツコと何か甘ったるい少女系コスメの匂いがした。
ハンドバッグに10センチくらいのピンクのクマのぬいぐるみが入ってて やけに汚れてて、イメージと随分かけ離れたもの持ってるんだねと聞くと お守りなんだと言ってた。
翌日の頭が すっきりした感じと爽快感は今でも はっきり覚えてる。もう長いこと あの爽快感を経験してないな。
90 名前:70 投稿日:04/08/17(火) 07:00
彼女と渋谷駅で別れる瞬間
彼女が山手線の開いたドアに今にも吸い込まれようとした そのとき 彼女は 何を考えたか いきなり回れ右をして電車をやり過ごしてしまった。
「アドレス交換しよ」
と言って強引にぼくのポケットからケータイを引っ張りだす。
向こうは おそらく仕事専用ケータイ。こっちは隠れることのできない丸裸の自分自身情報。こういうのは好きじゃないし、自分らしくない。
イブの日にお金で女の子を買った情けない男だけど そこに溺れるほど子供でもないんだけどな。
得たいの知れない営業メールが今後 山ほど送られてくることを思うと鬱になる。
だけどケータイは彼女の手にあって、素早い指先技で ぼくのアドレスは彼女の中へ。
勘弁してくれと口に出すのは さすがにかっこ悪いから誤魔化すように彼女の さらさらの髪を撫でてみた。
「じゃあね」と言って、彼女はふざけて全力でぼくにしがみついてきて顔を上げ。女の嫌らしさ全開の笑顔で「また会いたいよ」って言った。
笑顔は ぼくの下半身を一撃で起立させるほどのパワーがあって。
あの甘ったるい匂い。小さな肩。
また電話しちゃうんだろうな、おれ。
91 名G前:焼70 ◆DyYEhjFjFU 祖 投有稿戒日右:04/08/17(火微) 07:23
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93 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/08/17(火) 08:29
大晦日になっても片付かない仕事に悪戦苦闘しながら同僚と年越しするのだけは やめようと缶コーヒー飲みながら誓い合い、その数秒後に無理だと即答されて大笑いした。
そのときケータイが震えた。と記憶してる。
彼女からだった。メール。
>-クリスマスは一緒にいてくれてありがとう。
お正月の三日間のどこかでお会いできませんか?
営業メールの第一号が早速やってきた。
それにしても早い。すごく早い。彼女は仕事熱心なのか世間の時間の流れに無頓着なのか…
でも正直に言うと実は すごく嬉しかった。向こうはお金のため、と頭では分かっていても口元が緩む。
それから彼女の香水、ミツコじゃなくて、あの かすかな甘ったるい匂いを思い出そうとして何度も失敗。いらいらする。
彼女の手管に見事に はまったようだけど全面降伏は さすがにかっこ悪いから意地の悪いレスで応戦してみた。
>元旦は無理。2日、3日なら空くと思う。隠さず素直にカムするけど、ぼくは制服フェチ。君が学校の制服で来てくれるなら会いたい。下着見える ぎりぎり丈でよろしく。
たぶん もうレスはこないだろうと思った。
なぜかというと、最初の雰囲気から こういう内容には拒絶反応しそうな気がしたから。完全に割り切った風俗の娘って感じでもなかったし。
もう一度会いたいのは素直な気持ちだけど。
待機画面になったままロゴを回転させてるPCをつついて起動する。
徹夜覚悟のpm11:00ってなんで こんな眠くなるんだろうな。しかもさみしい。
135 名前:70 ◆DyYEhjFjFU sage 投稿日:04/08/18(水) 20:03
元旦の昼過ぎにケータイが鳴った。
前夜は そのまま朝まで仕事が続き、家に戻って爆睡予定のつもりが 寝つけずに雑煮をすすりながら ぼんやりテレビを眺めてた。
>-りょうかい。マジ制服でいくけど引かないように。で、いつ?明日、あさって?
引いてしまった。ほんとに来ると書いてある。
だらだら気分が吹っ飛び、頭がしゃきっとする。
脳内ではグレードレッドの非常事態。ニューロン兵士があわただしく駆け回り黒人軍曹の口汚い罵りと ちかちか またたくハザードランプの高速回転。
>明日にしよう。場所は まるきゅう2の地下。あの喫茶店。なあ。ところで まさかイブ料金のままじゃないよね。
速攻のレスが返ってくる。
>-おっけぃ。ちなみに、にがけ。
こっちもすぐに返す。
>よんがけ。嫌だったら他の娘探す。君ほど綺麗な娘は みつからないだろうけど。
>-無茶いってるよ。おっけい。りょーーかい。今回だけ、よんがけ。特別だよ。あなたに きれいって言われると うれしい。ほんとだよ。
ケータイを閉じると どっと疲れが戻ってきた。
雑煮を下げようとする母を止めて、自分の食べた分を台所に運ぶ。
それから自分の部屋に戻ってベッドに倒れこんで翌朝まで眠り続けた。
キャラメル色の長い髪。かきわけると、白くて つんと とんがった顎につらなるラインがあって 顎骨に薄く乗った皮膚は かたいようで柔らかくて そこに自分の顔を重ねたところを想像する。
でも、どうしても あの甘ったるい匂いが思い出せない。
136 名前:70 ◆DyYEhjFjFU sage 投沸稿日忌:永04/08/18(水) 20:35
新舶年2日屋の娠渋谷敗は人町で溢れ房てた似。
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145 名前:70 ◆DyYEhjFjFU sage 投稿日:04/08/20(金) 02:40
寒い中、地上を30分近く彷徨ったのち 南口のスターバックスで暖かいコーヒーにありつく。
ここは席すらない。バス亭と路肩を仕切る、たるんだチェーンに腰掛けてコーヒーをすする。
「これ、今日の」
彼女の手を握りたかったのかもしれない。唐突に紙幣を筒状にまるめた束を彼女の手のひらに乗せる。見えないように。
ぼくの手のひらは やけに汗ばんでいたけど、彼女の手のひらは冷たかった。
「ありがとう」と言って彼女は素直に笑った。
グレーのミニスカート。丈は かなり短かい。Pコートに包まれて、残念だけど太ももは ちょっとしか見えない。
ここの慧眼なスレ住人の前で制服の細かい描写は避けるけど紛れもない本物のじょしこーせーが目の前にいた。寒そうに猫背にまるまって、紙のカップを両手で持っている。
彼女は まじまじと見つめるぼくの視線に気づいたのか「化粧してないよ」と言った。
「制服好きな人ってさ、お化粧嫌がるんだよね」
それから
「ほんとは ちょっとだけしてるけど」と付け加えた。
「お腹はへいき?」
「うん。まだへいき」
「じゃあ、行きたいところは?」
「え?付き合ってくれるの?行ってもいい?」
どこへでも、お姫様の行きたいところへ。
まるきゅうで服を、原宿に移動してスニーカーを見てまわりキディランドで巨大なガムボールを2個買った。
お姫様は ご満悦で、それから だしぬけにお腹がすいたと言い出した。
原宿かぁ。このあたりの知識は ほぼゼロ。しかも新年2日に営業してる店なんてない。
しばらくして、ふと年中無休のスタンドカフェを思い出した。あそこなら何か食べさせてくれるかもしれない。
146 名前:70 ◆DyYEhjFjFU sage 投稿日:04/08/20(金) 02:42
ベーコンのサンドイッチ4切れをぺろりと たいらげてココアを飲み トマトをガーリックで炒めたのが美味しいと、もう一皿おかわりしてストーブにしがみついたまま、カルアミルクを飲んでた。
あっというまに男の店員と仲良くなるのは、顔の綺麗さと血のせいか。
ぼくは自分が買ったスニーカーの箱を「ほら」といって彼女に渡した。
「お年玉。安物でごめんな」
「ん。なにこれ?ヒロのスニーカーじゃないの?」
「君のスニーカー。さっきの店で欲しそうに見てたでしょ。買うときに入れ替えてもらった」
話ながら、いきなり自分の名を呼ばれてドキっとした。自分の名を女性に こんなに親しげに呼ばれたことなんてない。キョドったかもしれない。
履いていたローファを箱に詰めなおして、新品のスニーカに履き替える彼女。ほんとうに嬉しそうで とても演技には思えなかった。
体が温まり、お腹もよくなって店を出た。
「すぐ帰っちゃう?」
と彼女
「いや、どっちでも。でも もう充分楽しかったよ。駅まで送るよ」
東郷神社境内に入ったとき、彼女が腕を組んできた。
「ねえ、ホテルいこ」
「は?Hは無しなんじゃなかったっけ」
「今夜はホテルまでサービス料金に含まれてますけど。キャンセルされますか?ただしホテル代は別途料金になります」
制服でも平気なホテルは目黒にあった。
彼女の案内。反射照明だけの いかにもなモーテル。
空調の振動音だったか、ほんとうに雨が降り出したのかもう覚えてない。
そのあと彼女の腕の中に全部忘れた。
静かな寝息。
甘ったるいあの匂い。
147 名前:70 ◆DyYEhjFjFU sage 投稿日:04/08/20(金) 02:58
深夜に目が覚め、トイレ。
エビアンを冷蔵庫からひっぱりだしてガブ飲み。
冷蔵庫から漏れる明かりで彼女のバッグが ひっくり返っていることに気づく。
始まりは そんなに激しかったっけ?バッグを手に取って、散らばった中身をひとつづつ放りこんでいく。
ピンクのクマに化粧品に、なんだこれ、手のひらサイズのおもちゃのピストル、財布、ハンカチ、ボシュロムのレンズケース、ケータイ…
そこで手が止まった。
一枚のフロッピィが指先に触れた。
ピンクスケルトンの3.5インチ。ラベルは無い。
いつもなら気にも留めないんだろうけど、持ち主は10代の女子高生。おまけに可愛くて、ぼくの心に住み着きつつある その本人。
何も考えずに備え付けのPCを起動し、フロッピィを突き刺す。
カタカタと音がして、彼女の秘密が あっさり表示される。
メモ帳のファイルがふたつ。
エクセルのファイルがひとつ。
メモ帳はすべて英文で馬鹿なぼくには読解不可能。
エクセルのほうは、ケミカルっぽい ちんぷんかんぷんな英単語と数字の羅列。
結局のところ、ぼくには彼女の秘密に触れる その資格すらないらしい。
自分の捨てアドを呼び出し、内容をコピーして放りこむ。
それから友人のオタにメールしてエクセルの内容よろしく、と可愛い顔文字付で送付した。
ベッドに戻り 彼女を背後から抱きしめるその前にちょっと気になって彼女の手首と、太ももを調べた。
真っ白。なんの痕跡もない。
お姫様の寝顔は、お姫様そのものだった。
フロッピィのことは すぐに忘れた。
眠かったし ひどく寒くて彼女の温まった背中の方が、あのときは よほど魅力的だった。
>>次のページへ続く
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