16歳になり自分の名前でバイトを始めた
2つ掛け持ちをしたけど、あまり時給も良くなく生活を賄える程でも無くイライラしていた。
この頃には親父の事は「あ、だめじゃんこいつ・・・」と思い あまり当てにはしていなかった。
当時ハリーポッターが流行っていて、本を読むのが好きだったから夢中になってた新刊が出たら貯めたバイト代で買い何度も読み返してニヤニヤしていた。
映画館には見に行けなかったから、ビデオwをリリース当日開店と同時に借りに行って見入ってたんだけど
ある日、手持ちが尽きて給料日まで数日・・・
バイトにも行けなくなったから、泣く泣くハリーポッターシリーズを売った。2,000円ちょいになったかな?
悪いねぇ・・・すまないねぇ・・・と言いながら売った金で買ったタバコを吸いながら親父が誤ってきた。
どうしょうもねーな・・・と思った
父方の祖父母は裕福で親父は元々ちょっとボンボンな暮らしをしていたらしい。
今では没交渉になった親類の中には医者や教授をやっている人もいるみたいで、高校の時にドロップアウトした親父は親戚内でもちょっと浮いていた。
自営の仕事はバブルの波やその親類から仕事を貰っていたみたいだけど、内容はよく分からない。
それでもいつも誰かが手を貸してくれたり、助けてくれていたので親父は最後にはどーにかなる、誰かが何とかしてくれると思ってたんじゃないかな?
後から聞いたら、それは曽祖父の遺産だったり祖父の遺産だったりがちょっと纏まって入ってたからで、仕事での収入はほとんど無かった様だ
引越しをして暫くした頃、親父は自営ではなく外に出て工場で働き始めた。
50近くなって始めた体力仕事は大変だったと思うが、体を動かし他人と関わる事で親父はちょっとづつ明るくなって来た
だが、工場で働いてる人の中には訳ありの人も多く、外面が良くて調子に乗りやすい親父は良く家に人を連れてきた。
ある日バイトが終わって家に帰ると若い男が家にいた。
20歳ちょっと位だったと思うが、家がなく友達や知り合いの家を転々としていて泊まる場所がない時はそこら辺のベンチで寝ている。
可哀想だから今日は泊まってもらうから早く飯を作れと言われた。
初めて会ったのは2日前らしい・・・
一応食事を用意して3人で食べたけど、この男全く喋らない。
たまに相槌程度にあーとかはいとか言うが、ガブガブビールを飲む以外はほとんどボーッとテレビを観ていた。
引越ししたアパートは脱衣室がなかったからその日は風呂に入らず寝た。
朝、先に2人が仕事に出たから風呂に入ろうと思ったら風呂のドアが壊れて蝶番が外れてた。
噛み合わせが悪いのを無理やり押して奴が壊したらしい。
そいつとは2度と会わなかった。
1週間もしないでバイトをばっくれて仕事に来なくなったらしい。
その代わりに よっちゃんと杉さんと言うおっさん2人が入り浸る様になった。
よっちゃんは工場でずっと働いている50過ぎの独り身のおっさんで、パチンコと酒が大好き
杉さんは70歳近いじぃさんで家出人だった。
妻と息子夫婦がいるが飲み屋のママに入れあげて喧嘩してミニバンに寝泊まりして工場で働いているらしい。
風呂に入れなくて可哀想だから、と仕事帰りにうちに寄り風呂に入り晩酌して泊まる。
週のほとんど家にいた気がする。
その頃、私はまた姉の保険証を持ち出し姉の名前でバイトをしていた。
姉が18歳になったので、パチンコ屋で働ける様になったからね。
週に6日早番も遅番も入っていたから給料は22.23万位貰ってた。
シフトが少ない月でも20万位にはなってたけど、今までの家賃の返済溜まってた光熱費、引越し代などでカツカツだったからで毎月17万〜20万位親父に渡していた。
バイト先で食べる食事代や交通費が掛かるから好きに使える金は月1万位だった。
早く借金を返したかったのと、親父は当てにならないから自分が養わなきゃと思っていた。