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みんなの大好きな、みどりいろのあいつの話

 

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http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1364714166/


1 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:16:06.74 ID:l7VywiqX0
これは、みんなの大好きな、緑色のあいつの話だ。

ちょっと読めば、何のことを言っているかわかると思う。

だめな人ほど、緑色のあいつには詳しいから。


あるところに、中古のメイド・ロボット(少女型)を、やましい目的のために買おうとしている男がいた。

みんなが想像する以上に、やましい目的だった。


男は引退したばかりのロックンローラーだった。

しょっちゅう薬や喧嘩で捕まるので、かつては、「この世で最も教育に良くない男」と呼ばれていた。


「住み込みのメイドロボットが欲しい」とロックは言った。

「どういったのがお好みで?」と業者の男が聞いた。

「なにもしゃべんないやつ」とロックは答えた。

ロックは自分以外のうるさいやつが大嫌いだった。

「ああ、それなら、うってつけの子がいます」

そう言って業者の男が連れてきたのは、15歳くらいの、元気のない少女型だった。


5 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:19:59.14 ID:l7VywiqX0
「このロボット、どういうわけか、何も喋ろうとしないんです。でも耳の方はきちんと聞こえてますので、ご安心ください」

ロックは少女型ロボットを見て、一目で気に入った。

すべてにうんざりしてる感じの目が、とてもよかった。


「この子を買うよ。名前は何て言うんだ?」

「19です。ジューク。旦那、ロックの精神を見込んで、あなただけに、ジュークの秘密をお教えします」

男はジュークの細い肩を乱暴に叩いて、言った。

「実を言うと、ジュークはロボットじゃないんです」

「ナマモノか?」とロックは目を輝かせた。


6 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:22:21.75 ID:l7VywiqX0
「ええ。ですが、体のほとんどが機械なので、普通にしていれば、正体がばれることはありません。

脳も ほとんど機械同然なので、管理しやすいです。

前の持主の記憶は、きれいに消してあります」


ロックはサングラスを外し、改めてジュークを眺めた。

手足は細く、左肩にはやけどしたような跡があり、やわらかい黒髪は、腰くらいまでの長さがあった。

ロックはしばらく悩んだが、ロックンローラーたるもの、人身売買の一つや二つ、やっといた方が良いと思った。


8 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:26:33.40 ID:l7VywiqX0
「ますます気に入った。こいつを買わせてもらう。ただし、こいつが本当は生身であることに関して、俺は何も知らなかったということにしとけよ?」

「もちろんです。『我々は何も知らなかった』のです」


ジュークはとことこ歩いてロックの前に立ち、両手を前に差し出して、奇妙な動きをした。それは手話だった。

ジュークは手話で『よろしくおねがいします』と言っていた。





10 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:30:35.15 ID:l7VywiqX0
「ああ、よろしくな」とロックは答えた。

それくらいの手話なら、彼も理解できた。

ここ数年で急速に増えた音響兵器のせいで、五人に一人が難聴という時代になっており、手話は珍しいものではなくなっていたのだ。


『あなたのことは、なんてよべばいいんでしょう?』店を出ると、ジュークは手話でそう聞いてきた。

「喋れないくせに、妙なことを気にするやつだな。しかし……自分で言うのもなんだが、俺の顔、相当有名なはずだぞ。テレビで見たことないのか?」

ロックはサングラスを外し、自分の顔を指差した。


13 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:32:33.99 ID:l7VywiqX0
ジュークはしばらく彼の顔を眺めていた。

ロックは確かに、有名人的な顔立ちをしていた。

きれいな金髪の、意地の悪そうな美男子だった。

『すみません、みたことがないです。てれびをみることが、あまりなかったので』

「そうか。俺はさ、有名なシンガーだったんだよ。ロックンローラーの最後の生き残りって呼ばれてた。ロバート・プラントの再来とも言われてな。

まあいい。知らないなら、それはそれで気が楽だ。

俺のことは、そうだな、『マスター』と呼べばいい。普通のメイドロボットなら、そうするだろうから」

ますたー、とジュークは口を動かした。

どうしてこの子は喋れないんだろう?

そうロックは思った。前の持主の趣味だろうか?


14 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:35:43.97 ID:l7VywiqX0
自宅に入り、ドアを閉め、ロックは一息ついた。

引退したとはいえ、マスコミの目はそこら中にある。

最近 離婚したばかりのロックの、そのとき支払った慰謝料の額は、ちょっとしたスキャンダルになっていた。

ジュークはロックの腕に軽く触れ、聞いた。

『わたしはなにをすればいいんでしょう?』

ロックは辺りをきょろきょろ見回し、誰もそこにいないことを確認した後、言った。

「今日からお前は、俺のマミーになるんだ」

『……まみー?』ジュークは聞きかえした。

「そうだ。ジュークは、俺のママになるんだ」

このひとはなにをいっているんだろう、とジュークは思った。

いかれてるのかな?


15 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:38:18.34 ID:l7VywiqX0
「ジュークはなにも、特別なことはしなくていい。ただし、俺はときどき、無性にマミーが恋しくなる。そういうとき、俺はジュークを、マミーとして扱う」

そう言うと、ロックはジュークに抱きついた。

らんぼうされるのかな、とジュークは身をこわばらせたが、ロックはジュークにしがみついたまま、じっとしていた。

「会いたかったよ、マミー」とロックは言った。

ジュークは すごく困ったような顔をしつつも、27歳のロックの背中をぽんぽん叩いてあげた。

第一印象とは、大分違う人間のようだった。


17 :名も無き被体774号+:2013/03/31(日) 16:42:10.19 ID:l7VywiqX0
二十分くらいして、ロックはジークから離れた

ュークは張でくたくたに疲れいた。

ックは十分ミー成分を補給できたしかった。

あのますューった

まみーしいんでした、わたしなんかより、もっと姿みーぽい ろぼっとがいるとおもいますよ?

普通駄目なんだ」と便

女の前ではがる使命がある。

引退しても、俺はロクンル・ス

も、お前くなら強がなくて済む、素稿えられる、姿


なひとだなあ、思った。

んかくのひとみたい。


19 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:46:13.65 ID:l7VywiqX0
ロックは二回離婚したことで有名だったが、ジュークはこれまで四回持ち主に売り飛ばされていた。

ジュークは持ち主に見限られるのが得意だった。

わざとまずいご飯を作ったり、掃除を雑にやったり、寝坊したり、持ち主に対して失礼な態度をとるのは、さっさと売り飛ばされて、倉庫に戻りたいからだった。

ジュークは今回もそうするつもりでいた。

「マミー、夜ご飯が食べたい」とロックが言ったので、ジュークはエプロンを着て、油と塩の味しかしない料理を作った。


20 :名も無き体774号+:2013/03/31(日) 16:50:24.68 ID:l7VywiqX0
しかジュクの理を食べロックは文句を言うどころか、嬉しそうに笑た。

マミーの料理しくないなあ

言いつ、残さず食てしった


クは印象を悪くいで わざとロックの前で何度もあくをし

ューク、眠いか?」とロッ姿クは聞いた。

うなず

初日らな、緊張疲れたんだろう?」

ロックは「俺寝よ言って寝支を始めた。





21 :名無き被検774号+:2013/03/31(日) 16:54:37.26 ID:l7VywiqX0
ックジュークの沿引いて室へった。

ふかふかのベッドにュークを寝せ、ロックもそって、明かた。

やすみ、ー」とロッい、ジュに顔を埋めて寝た

ジュ きまりの悪な顔で、っさと寝付いてれるの心で、ロッの胸をしくとんとんいてあげ

はや尿りになりたいなー。


22 :き被検体774号+:2013/03/31(日) 16:59:24.62 ID:l7VywiqX0
ック寝息立て始めたの、ジュ ークはそッドかとした。

るとックの手がジュークの腕をつかんだ

ミー、ここにいくれ

ジュークはしぶし布に潜り27歳児の抱き枕とした。

ますたー、しがここにくるまいかつしてたろう


24 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 17:04:49.40 ID:l7VywiqX0
次の日も、その日も、ジュークはックにわれるた。

掃除機真空管アンをがんがったり革ジャ機にれてたり灰皿ミキーにぶり。

度に嬉しそうに困っていた。

ジュ婿られるのがった

まいったなあ、ークは思った

うすば きらいくれるんだろう?


あまり露骨に反抗見せると記憶をるだけに終わ恐れがた。

あくまで自に嫌われる必要ある姿

「こいつは使綿い」と思わせる、とか。


25 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 17:12:01.95 ID:l7VywiqX0
自分をなまけものに見せる狙いで、ジュークは倉庫に隠れて昼寝をしてみた。

そこにはウッドストックの人形があって、ジュークはそれを枕にして横になった。

「ジューク、どこ行った?」とロックが呼んだ。

ジュークは目を閉じて、寝たふりをした。

倉庫のドアを開けたロックは、変な体勢で寝ているジュークを見つけた。

ジュークはどきどきしながら怒られるのを待っていたが、ロックはジュークを身長に抱えあげると、寝室まで運んでベッドに寝かせた。


26 :名も無き被体774号+:2013/03/31(日) 17:16:24.26 ID:l7VywiqX0
窓から差し込む日があったかくて、ジ当に寝入っしまっ

『あしたこそ、きらわてやるぞ』、と意しながら。

日、ジュークはおいしい作った。


ちなみに。ジューは知るよしもなかったックがジュークを大事にすのは始めから手すつもりでらだ。

なら、に近いで売れるように、丁寧に扱おうと思っていた

電化製品には、くある


28 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 17:31:17.88 ID:l7VywiqX0
購入からちょうど100日たったその日、ジュークの記憶を消して、売り飛ばそう。

そうロックは考えていた。

ある意味では、ジュークとロックの利害は、最初から一致していたのだ。


32 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 18:21:49.99 ID:l7VywiqX0
ロックは外に出るたび、しょっちゅう喧嘩をしてきた。

警察に捕まって、三日くらい帰ってこないこともあった。

そして家に帰ると涙目でジュークに抱きついて、「マミー、また喧嘩しちゃったよ」と言った。

その度ジュークはロックの怪我をみたり、しばらくロックを慰めたりしなければならなかった。

なくくらいならけんかしなきゃいいのに。

『ますたー、ほんとはけんかきらいなのに、どうしてそんなに けんかばっかりするんですか?』

ラグビー選手と喧嘩してきて傷だらけのロックに皮膚スプレーを吹き付けながら、ジュークは聞いた。




>>次のページへ続く


 


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