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数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
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356 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:43:20.05 ID:uGHuDPhd.net
俺は まだ親に甘えてた。甘えることが許されると思ってたし、それが許されて当然だと思ってた。

だって、俺はまだ中学生だ。

そりゃ、面と向かってガキだなんて言われたら言い返すかもしんないけど、何から何まで親にしてもらって当然の子供だ。

飯も、洗濯も、学費も、何かするときのお膳立ても、全部してもらって当然なんだ。当たり前なんだ。



357 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:49:00.24 ID:uGHuDPhd.net
すべては、当たり前。

だから、親は引きこもってる俺に気を遣って当然だ。いや、むしろ気を遣うべきなんだ。

毎日食事を用意して、部屋の中でも俺が快適なように はからって、時には「必要なものはない?」と俺に伺いを立てて、俺が欲しいものを言ったら すぐにそれを差し出して、「気づかなくてごめんね」って謝るべきなんだ。

そうだろ?ほかのやつらも、程度の差はあれ、そうしてもらってるんだろ??



358 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:56:02.37 ID:uGHuDPhd.net
・・・・・・って、そんなわけないよな。

いまの俺ならそう思える。いや、思えるってよりは、〈現実〉を知ってる。


あのときの俺に、いまの俺はこう思う。

いいか、お前は結構幸せだぞ。世間には虐待死する子供もいる・・・・・・だなんて極端な例を出さなくても、お前は十分いい環境にいる。

こんなこと言うと反発するかもしれないが、

「お前は引きこもることができてる」

それだけで、幸せの立派な証明だ。




359 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 06:07:42.08 ID:uGHuDPhd.net
親は お前を大切に思ってる。

そりゃ、言うことが遠回しすぎるとか、いろいろ不満はあると思うが、それは そういう人なんだからしょうがない。

親の性格が、お前に少し合わなかったってだけだ。それだけで、「最低な親」だなんて烙印を押す必要はない。


そんなことお前は望んでないって言うかもしれないが、親は お前が引きこもることを許してくれてる。

逃げることを許容してくれてる。

「それは違う」

「だって、親は一生こうしてていいって思ってるわけじゃない」

「早く独立しろとか、学校に行けとか思ってるはず」

「俺は必要ないんだ」


お前はそう言うかもしれない。

でも、まだ来ない何年も先のことを考えてもしょうがないから、「いま」のことだけを考えてみて欲しい。

親はお前を安全な場所にかくまっている。そうだろ?

そうでなきゃ、お前なんか さっさと家から追い出してるさ。

本当にお前を必要ないとか、そんなふうに思ってるならな。


・・・・・・俺は、そう思ってる。



360 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 10:22:55.57 ID:uGHuDPhd.net
引きこもれるのは、そこが外よりも居心地のいい場所だからだ。

それだけで、いいか悪いかで言ったら、俺の環境は良かったに違いない。

けど、俺は人知れず暴れまくった。

それこそ、嵐みたいに。



361 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 10:33:31.86 ID:uGHuDPhd.net
「ただの新聞の切り抜きでしょう」


いつもの時間に現れたレイは、まだ苛々していた俺にそう言った。


「親は あなたが心配なのよ」


「違うよ」

「親のことは俺が一番知ってる」

「いつもこうなんだ」

「遠回しに、言いたいことも はっきり言わないで」

「新聞の切り抜きだよ? 信じられる?」


「質問の答えなら、イエスね」

気の乗らない調子でレイは答えた。

「信じられるわ」


「違うよ、そういう意味じゃなくて」


「じゃ、どういう意味なの?」

「それは・・・・・・」

親は俺の奴隷でいろ、なんてリアルじゃ言えなくて、俺は黙った。



362 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 10:38:49.76 ID:uGHuDPhd.net
「黙るってことは、あなたも頭では わかってるってことよ」

すると、レイはそう言った。

「けど、感情との折り合いがつかない」

「だから、怒っているのね」


「違う、そうじゃない」

けど、俺は しつこく言った。

「問題は親が遠回しすぎることなんだ。それがなかったら、俺だって少しは・・・・・・」


「少しは、何?」「建設的な関係を築ける?」


「・・・・・・そう思う」


「そうかしら」

しかし、レイは素っ気なく言った。



363 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 10:44:26.54 ID:uGHuDPhd.net
「あなたは親が遠回しに意見を伝えるのを嫌がってる」

「でも、あなたは?」

「・・・・・・俺?」

「そう」

「あなた」

「あなたは どうやって親に意見を伝えているの?」

「俺が? なんで俺が・・・・・・」

「伝えたいことがない、というのは、なし」

「他人に求めてることを、たまには自分に置き換えてみて」

「それが どんな要求か、よくわかるから」




364 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 10:50:06.96 ID:uGHuDPhd.net
他人への要求を自分に置き換えてみる?

「それはつまり、親も俺のことを遠回しな人間だと思ってるってこと?」

「はっきり要求を言えばいいのに、って思ってるって??」


「そう」「違う?」


「そんなことない」

俺はよく考えずに否定した。

「だって、俺はいつも・・・・・・」

あれ?

そこで俺は思った。

○○をして欲しい、だなんてはっきり親に言ったことってあったっけ。



365 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 10:58:19.33 ID:uGHuDPhd.net
「自分がしていないことを、他人に求めるなとは言わない」

「それが一方的な要求になるという認識さえあれば」

「けど、それもなしに要求が通らないと騒ぐのは間違い」

「他人はあなたの勝手な要求を飲む義理はないのだから」


「でも・・・・・・」

そう言われてもなお、俺は不服だった。

「相手は他人じゃなくて親なんだし・・・・・・」


「親でも人間関係であることに変わりはない」

「多少許容される範囲が広いだけ」

身も蓋もない言い方に、俺は少しむっとした。



366 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 11:01:29.63 ID:uGHuDPhd.net
「じゃあさ」

俺はふてくされて言った。

「俺も親の要求を呑む義理はないよな」

「だって、親の勝手な要求なんだから」

それはレイに対する皮肉のつもりだった。

親の言うことは絶対だ、そんな考えを俺は持ってたんだと思う。

しかし、俺の皮肉はすっぽ抜けた。


「ええ」

「聞かなくてもいいんじゃない?」


レイはこう答えたのだ。



367 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 11:13:47.71 ID:uGHuDPhd.net
「え、なんでだよ」

自分の言い出したことだというのに、俺は焦った。

「だって、親の言うことだぞ? 聞いた方が・・・・・・」


「あなたは本当に言うことが ころころ変わるのね」

今度はレイが皮肉を言った。

「親を批判しながら、今度はその言葉を聞くべきだというの?」


「それはだって・・・・・・」


「教えてあげる」

すると、レイはよくわからないことを言った。



368 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 11:22:58.71 ID:uGHuDPhd.net
「あなたは、誰の言うことも聞く必要はない」

「誰かの言葉通りに生きる必要もない」

「・・・・・・という、私の言葉さえ、本当は聞く必要はないの」

「わかる?」


「えっと・・・・・・わからない」

本音だった。

だって、親の言うことは聞くべきだ。

先生や、友達の言うことにも、耳を貸すべきだ。

誰もが そう口を揃えるし、そうでなかったら、実際どうするべきか わからないこともある。

「私は何も、すべて一人でやれと言ってるわけじゃない」

すると、レイは言った。

「あなたは他人の言葉に惑わされる必要はないって言ってるのよ」






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