展望台での露出
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立ったままのあられもない格好だったと思います。
目を閉じていても日差しがまぶたの裏側を明るくしていました。昼間にこんな行為をしているということを実感させられました。
どれくらいそうしていたでしょう。
気がついたとき、私は展望台で膝をついていました。いつ膝をついたのか、気がつかなったんです。
そのあいだ、私は快感階段の方をまったく注意を払っていなかったことに気づきました。幸い、下の駐車場には人やクルマの気配はありませんでした。
しかしショックでした。
自分が意識を失うまでそんなことをしていたということが。
けれども誰もいないということが確認できてしまうと、私はまた楽観的に考えてしまい、さっきの行為の続きを再開してしまったのです。
ずっと立ったままでいたので足が疲れていました。私は展望台の上に寝そべってみました。下はコンクリートでした。背中がひんやりとしました。
今度は片手でクリとあそこを、もう片手で乳房をいじめました。
さっき気がついたときに誰もいなかったということに安心してしまって、今度はあまり周辺に気を使わずにいたんです。
声もさっきよりも大胆に出してしまっていました。
「もうどうなってもいい」
そんな自暴自棄の気持ちになってしまっていました。ただひたすら快感だけを求めてしまっていたのです。
日差しが全身を暖かく包むようでした。何度もイッテしまったようです。
けれどもやはり場所が場所だけに気持ちのなかに警戒心があったのだと思います、すぐに気を取り戻すことができました。
かなり長いあいだ、私は自分をいじめていたと思います。
ふらふらになって立ち上がりました。
コンクリートのお尻のところに染みができていました。私のお尻の形がわかるくらいくっきりとです。
それをぼんやりと眺めたとき、私は自分のした行為を見せつけられているような気がしました。
急に恥ずかしくなってきました。すると正気も戻ってきたんです。頭の中でようやく危険信号が点滅し始めました。
「戻らなければ」
私は余韻を楽しむこともなく、階段を駆け下りていきました。
階段の真ん中あたりまできたときです。登り口の方からクルマのエンジンの音が微かに聞こえてきたような気がしました。
私は動揺しました。
「誰か来た」
ところがあせって足を踏み外しそうになってしまいました。
そしてなんとかクルマまでたどり着いて運転席に裸のまま転がり込んだときです。
本当に同時といったところでした。サイドミラーごしに、登り口から登ってきたクルマが見えたんです。
私のクルマは運転席を林側に向けてとめていました。
私は運転席の足元にしゃがんでからだを縮めていました。
クルマの停車する音、そして誰かが降りてくる音がしました。
目の前が真っ暗でした。
ひょっとしたら、私がクルマに乗り込むところをみられたかもしれない、そう考えると生きた心地がしませんでした。
仮にそのとき見つかっていなくても、その人たちが私のクルマをのぞき込んだら。
からだを縮めていたので、全身に動悸が脈打つような感じでした。
「助けて、助けて」
私は誰に助けを求めていたのでしょう。けれども助けを求めずにはいられなかったのです。
彼ら(しっかりと見てはいないのですが、たぶん男の人がふたりだったと思います)の気配に耳を集中させました。
小さな笑い声をたてて何か話をしていました。そのときは私のことだと思っていました。
「クルマがあるよ。ほかにも誰かいるんじゃないですか」
どきっとしました。
「だめ、こっちに来ないで」
脂汗が全身からどっとわき出てくるのを感じました。
脱ぎ捨てたワンピースとサンダルはタイヤの陰にあります。それを見つけられたら、絶対不審に思ってクルマをのぞかれてしまう。
「もうだめだ」
私はぎっちりと目をつぶり、全身を固くこわばらせていました。
一方の人が近づいてくる気配がしました。絶体絶命でした。
「どうです、展望台に登ってみませんか」
そのとき、もう一方の人が声をかけたんです。近づいてきていた男の人は「そうですね。せっかくですから」といって、クルマから遠ざかっていく気配がしました。
私はほっとしたというか、全身の力が抜けてしまうのを感じました。
そして、展望台への階段を登っていくふたつの足音。
革靴を履いているらしく、耳を澄ますとかつんかつんと音が聞こえてきました。
足音はだんだんと上にのぼっていきました。
すぐにワンピースとサンダルをつけて逃げだそうとしたのですが、運転席の狭いスペースに潜り込んでいたので、なかなか出ることができませんでした。
それにからだの力も安堵感から脱力したまま、思うように動くことができませんでした。
しかし彼らがいつ戻ってくるかもしれないのです。
動かないからだにむちうって、なんとか運転席に座ることができました。
さっきの人たちのクルマが反対側にとまっているだけで、誰もいませんでした。
そっとドアを開けて外に出ました。
下から展望台の上の様子はわかりませんでした。
「戻ってくる前に」
脱ぎ捨ててあったワンピースとサンダルを拾い、サンダルを履きました。
それからワンピースを着ようとしたときです。
彼らが展望台の階段をおりてくる靴音が聞こえてきたんです。
あせってしまって、ワンピースをはおる暇もありませんでした。
ワンピースを助手席に投げ入れ、キーをまわしました。
彼らの話し声がだんだんと近づいてきました。
私は裸のまま、ものすごい勢いで発進し、登り口をくだっていきました。
彼らもたぶんその音に驚いたと思います。誰もいないと思ったのに、下で突然クルマが発進したのですから。
「ひょっとしたら追いかけてくるかも」
私は新たな不安にとらわれました。
ですから、途中で停車せず、裸のまま運転席に座って坂道を下っていったのです。
今考えてみると、もしもこのとき対向車があったら。そう考えるとぞっとします。
けれども幸い誰にも会うことなく、下の道路までたどりつきました。前後ともクルマはありませんでした。
運転席でワンピースを着ようとしたのですが、狭くてうまく着ることができませんでした。
それで危険とは思ったのですが、いつまでももたもたしているよりはましと考えて、いったん外に出てワンピースをはおりました。
また中に入り、クルマの中でボタンをとめました。
そのとき、おなかの下、つまりあそこのボタンがとれているのに気づきました。どこかでとれてしまったようです。
しかしそのときはそんなことを気にしている余裕などありませんでした。前後を一応確認し、急いで発進しました。
ワンピース一枚とはいえ、服を着ているというだけで、こんなに安心するなんて。
ハンドルを握りながら、ついいましがた自分の身にふりかかったこと、というか自分がまいた種なのですが、が頭の中によみがえってきました。
もしほんの数秒、クルマに戻るのが遅かったら。
恐怖がこみあげてきました。
駐車場で彼らとはちあわせになってしまったらと考えると、まともに運転できなくなって、路肩に駐車して気持ちをおちつけるのに時間がかかりました。
帰り道はアパートまで一直線でした。
途中、どうしてもトイレに行きたくて、コンビニに入りましたが、店員の人に変に思われはしなかったかと心配でした。
アパートに帰るとまだ昼過ぎでした。ほんの少ししか露出をしていなかったのです。しかし私にとっては大冒険でした。
長くなってしまいました。また、いろいろと懺悔していきたいと思います。
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