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数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
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403 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 10:55:04.12 ID:R20nqEHV.net
よし、俺は考えるのをやめた。

このまま考えると、また負のスパイラルに入ってしまうことを、俺はもう嫌と言うほど知っていた。

そして、渦に引き込まれる前に、それを拒絶する術を身につけ始めていた。

口で言うのは簡単だけど、なかなか実行するのは難しいことだ。

考えたい、と思わないこと。

自分の世界にどっぷり浸かりたいという甘美な誘惑を振り切ること。

それは経験したことはないけど、きっと酒や煙草をやめるときと同じだと思う。

誘惑を拒絶する、意志の力が必要なんだ。



404 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 11:03:41.00 ID:R20nqEHV.net
俺はそうして考えるのをやめて、その代わりにこう決めた。

もう一度、レイと約束をしよう。

○○公園まで来てくれって、そう頼んでみよう。

そしたら今度こそ、俺は時間通りに そこに行くからって。


・・・・・・そうして現れたのが、脂ぎったオッサンだったら?

それが〈現実〉だ。

それに、こっちだって気持ち悪い引きこもりなんだからどっこいどっこいだろ?

だなんて、本当にそう思えたわけじゃないけど、でも、とりあえず俺はそれでレイの正体に決着をつけた。

その瞬間が来るまでは、レイには儚げな超絶美少女でいてもらうことにして。



405 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 11:26:52.65 ID:R20nqEHV.net
さて。

一息つくと、俺はノートの新しいページを開いた。

計画はいよいよ大詰めを迎えていた。

完全犯罪には、少しのほころびも許されないし、本番は一度きりだ。

こればっかりは練習するってわけにもいかないから、頭の中でイメージトレーニングを積むしかない。

それに、準備する品物のリストアップ。

ホームセンターにナイフを買いに行くのなら、他のものも いっぺんに揃えておきたい。




406 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 11:35:45.07 ID:R20nqEHV.net
まず、ナイフ。

俺は丁寧にノートにそう書き込んだ。

少し考えてから、括弧付きで

(できるだけ先の尖ったもの)

そう付け足す。



それから、千枚通し。

これは未だ実験はしていないが、タイヤをパンクさせるための道具だ。

ネットで調べたら、釘でパンクするというから、千枚通しも似たようなもんだろうと思った。

・・・・・・ちなみに、俺はその当時「千枚通し」という言葉を知らず、ノートには「たこ焼きをひっくり返す針」と、書かれている。針って。



407 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 11:40:13.37 ID:R20nqEHV.net
続けて、レインコート。

そう書いてから、俺は後ろに「?」を付けた。

返り血対策にいいと思ったのだが、晴れた日のレインコートは、いくら暗闇でも ちょっと不審すぎるだろうと思ったのだ。

透明の・・・・・・そう書き足してから、やっぱりぐちゃぐちゃと消してある。

そうだよな、透明のレインコートでも、本当にの意味での透明」じゃないもんな。



408 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 11:45:37.79 ID:R20nqEHV.net
それなら、返り血対策はどうしたらいいのか。

・・・・・・と、そこまで考えて、俺は首をひねった。

そんなに返り血って飛ぶもんなんだろうか。


パソコンで調べてみたが、そんな物騒な体験談が載ってるわけでもなく、俺はノートに「「返り血」と書いて、そこに大きく丸を付けた。

これはあとで調べるか、レイに聞いてみよう。



409 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 11:58:35.08 ID:R20nqEHV.net
>>407 ×本当にの意味での透明 ○本当の意味での「透明」


それから、手袋。

これもノートに書いてから、「?」を付けた。

手袋なんてものを思いついたのは、テレビでも漫画でも、「凶器の指紋」とか「指紋が出た」とか聞くからで、その「指紋」を残さないためには、手袋が必要だと思ったのだ。

けど、これもどうだろう。

警察の科学捜査の知識なんかゼロの俺は顔をしかめた。

俺はAに刺したナイフを そのままにするつもりはなかった。

だから、指紋のことは考えなくてもいいんじゃないかと思ったのだ。

けど、もしものことがあったら困るから、しておくに越したことはないか・・・・・・。

俺は「手袋」に付けた「?」を消した。

それから、もう少し考えて、「黒くてすべらない」と付け足した。



410 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 12:12:14.49 ID:R20nqEHV.net
もちろん、当時の俺は大まじめだった。

いまなら呆れるようなこのリストを、大まじめに考えて、丁寧にノートに書き付けたのだ。

それは、目標が目標だから、あまり褒められたもんじゃないことは確かだ。

でも、このリストを見るたび、俺は あのころを思い出す。

そして、少し懐かしいような、微笑ましいような、それでいて、息苦しくて胸が締め付けられるような、そんな気持ちになる。

これは、俺の過去の姿そのものだった。

それも とんでもなくリアルで、ありのままの。

ここには、まだ、あのときの俺がいる。14歳の少年の、あまりに純粋な闇がここに息づいている。

俺はそれを感じて、どうしようもなく胸が締め付けられるんだ。



411 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 15:33:16.14 ID:R20nqEHV.net
けど、そのときの俺は、未来の俺からの視線なんて知るよしもなかった。

俺は自分では前向きに進んでいるつもりでいながら、その肝心の未来のことなんて、これっぽっちも考えていなかったんだ。

Aを殺す、という目標の後も続くだろう、自分の未来のことを。


俺の思考は、Aの殺害で止まっていた。

そして、その先は真っ白だった。

Aを殺して、それで自分が逮捕されなければ、それでいいんだと思い込んでいた。

物語のように、映画のように、画面に現れたエンドマークが、すべてを丸く収めてくれるんだと思ってた。


けど、それは違うんだって、〈現実〉では そんなことがあり得ないんだってことが、いまならわかる。

そして、それこそが、レイが本当に言いたかったことなんだってことも。

だから、俺が考えるべきは、目標の先のことだった。あのときは まだ白いままの、俺の未来のことだったんだ。




416 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/15(火) 03:15:33.63 ID:TczQQdCb.net
俺は考え得る限りの品物をノートに記した。

それから、時間が来るとノートを閉じ、Aの観察に出かけた。

足音を忍ばせて、親の寝室の前を通り過ぎながら、俺はあと何回、こうして出かけることになるんだろう、そう思った。


筋トレ分、飯の量は増えている。

炊飯器の米がなくなってるんだから、親も俺の変化に気づいてないことはないだろう。

この夜の外出も、気づかれるのは時間の問題かもしれない。俺は初めて危機感を覚えた。


もし、外出に気づかれたそのあとに、A殺害のニュースが流れたら??

そうしたら、親は俺を疑うだろうか?

疑って・・・・・・どうする?

警察に洗いざらいしゃべるだろうか??



417 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/15(火) 03:20:00.74 ID:TczQQdCb.net
悪夢のような想像が ぐわっと俺を鷲掴みにしようとした。

だめだ、考えるな!

俺は すんでのところで、その凶悪な指先から逃れた。

考えるな。何も、考えるな。

そう言い聞かせながら、窓を開けた。

いつもよりも慎重に、静寂の底を這うように。



418 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/15(火) 03:28:41.56 ID:TczQQdCb.net
それは普段と変わらない闇だったのかもしれない。

けど、俺の心持ち一つで、それは何か恐ろしいものを秘めているように見えた。

『こんな夜中に どこへ行くんだ』

すぐ先の角から親が出てきて、俺を止めるんじゃないか、警察に声をかけられるんじゃないか、まさか、俺の魂胆を知ったAがナイフを構えてるんじゃないか。

挙動不審に陥った俺は、いまでは完璧に見切っていたはずの人感センサーに片足を引っかけた。

ぱっと明るい光が、闇から俺を洗い出した。



419 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/15(火) 03:36:37.53 ID:TczQQdCb.net
やばい。

通りがかりの人がいたというだけだ。

何もやばいことなんてないだろう。

だというのに、俺は思わず小走りになった。

何かに追いかけられるように足は止まらなくなり、そのまま公園まで俺は走った。

日々の筋トレのせいだろうか。レイと約束をしたあの日、便所サンダルで走った道を、俺は あのときとは比べものにならないほど軽々と走り抜けた。


けど、その成果を嬉しく思えるような精神状態にはなかった。

怖い。

怖い。

怖い。

何をそう感じるのかわからないまま、俺は走り続けた。



420 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/15(火) 03:51:16.57 ID:TczQQdCb.net
その日は火曜で、Aが塾にいるはずの日だった。

だから、俺は塾の前の通りを歩き、Aの自転車の位置を確認しておこう、そう思っていたはずだった。

けど、なぜか俺は そうしなかった。

俺は、観察するうちに判明したAの帰路を一通り歩き、それから引き返して、殺害予定場所に佇んだ。

そこは街灯の切れ間にできた暗がりで、俺が潜むのにおあつらえ向きなゴミ捨て場から少し進んだ場所だった。

周囲の家は高い壁で囲まれていて、人目も気にならない。


ここで、Aが倒れる。


そのときの想像をし、俺は黒い道路を見下ろした。

俺のナイフが、Aの腹に刺さっている。

Aは仰向けに倒れ、瞳孔の開いた目で俺を見上げている。

お前か? お前に俺は殺されたのか?

そんな、驚いたような表情で。

ぽかんとバカみたいに口を開けて。



421 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/15(火) 03:58:09.55 ID:TczQQdCb.net
そのとき、路地を風か吹き抜けて、俺は身震いをした。

ぬるい春風だ。

だから、寒かったわけじゃなかった。

けど、風に追いやられるように、俺は踵を返した。


角を曲がり、犯行予定地が完全に見えなくなるそのときまで、死んだAが俺の背中をじっと見ているような、そんな気がした。







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